韓国は先願主義を採用しています。原則として、商標権は他国でそのブランドを先に使用していた者ではなく、韓国知識財産処(MOIP)に最初に出願した者に帰属します。出願前にオンライン販売、販売代理店、SNSなどを通じて韓国で人気を得た外国ブランドは、現地の「商標ブローカー」に狙われ、自己名義で出願されるケースが後を絶ちません。
幸い、韓国法には悪意による出願に対抗する手段がいくつも用意されており、どの手段を用いるかは冒認出願がどの段階まで進んでいるかによって異なります。いずれの手段を用いる場合でも、通常、事案の帰趨を決めるのは悪意を立証できるかどうかという一点です。
鍵となるのは悪意の立証
悪意とは内心の状態であり、出願人の頭の中にしか存在せず、冒認出願者がそれを認めることはまずありません。そのため、MOIPおよび特許審判院は諸般の事情を総合的に考慮して悪意を推認します。特に重視される要素は次のとおりです。
- 商標の識別力の程度。ブランドが韓国語でも英語でも意味を持たない造語(または珍しい語の組合せ)であれば、他人が独自に同じ商標を選択したとは極めて考えにくく、造語と同一の商標の出願は模倣の有力な証拠となります。一般的な辞書に載っている語であれば、それだけでは証拠としての力はかなり弱くなります。
- ロゴが模倣されているかどうか。名称だけでなくロゴ、デザイン化された文字や図形まで出願している場合、ほぼ確実に模倣したものといえます。偶然に同じデザインにたどり着くことはないからです。
- ブランドの周知度。韓国内外での評判を示す証拠(売上、広告、メディア報道、SNSのフォロワー数、韓国のオンラインマーケットプレイスへの掲載、展示会への出展など)は、出願人がそのブランドを知っていた可能性が高いことを示します。
- 商標および指定商品の類似性。模倣された商標と指定商品がご自身のものに近いほど、悪意の推認は強く働きます。
- 当事者間の関係と出願人の行為。過去の取引関係(販売代理店、代理人、パートナー、従業員)、出願前の接触、商標の買取りの持ちかけ、多数の外国ブランドを繰り返し出願していることは、いずれも悪意を示す事情となります。
いずれか一つの要素で決まるわけではなく、当局はこれらを総合的に判断します。立証できる事情が多いほど有利になりますので、冒認出願を発見したらすぐに証拠(日付入りのスクリーンショット、請求書、報道記事、やり取りの記録など)の収集を始めてください。
1. 冒認出願がまだ審査中の場合
審査前に出願を発見した場合は、MOIPに情報提供を行い、その商標が登録されるべきでない理由(たとえば、周知なブランドを模倣していることや、元販売代理店による出願であることなど)を説明することができます。情報提供は官庁手数料がかからず手続も簡便であり、審査官はこれに基づいて出願を拒絶することができます。
2. 出願公告された場合
審査を経ると、MOIPは異議申立てのために出願を公告します。何人も出願公告日から2か月以内に異議申立てをすることができます。異議申立ては通常、無効審判よりも迅速かつ低コストであり、対応すべき最適なタイミングです。
3. 商標がすでに登録されている場合
特許審判院に無効審判を請求することができます。冒認出願に対してよく用いられる無効理由には、次のものがあります。
- 悪意・不正の目的 — 韓国内または外国で特定人の出所を表示するものとして認識されている商標を模倣し、不正の目的(たとえば、韓国市場への参入を妨げる目的や、商標を買い取らせる目的)で出願したもの。
- 関係に基づく出願 — 出願人が、契約、取引その他の関係(販売代理店、代理人、ライセンシー、パートナー、従業員)を通じて商標を知ったもの。
- 代理人・代表者による出願 — 代理人または代表者が、承諾を得ずに商標を出願したもの。
いずれの理由についても、成否は上述の悪意に関する証拠にかかっています。
4. 冒認出願者が商標を使用していない場合
登録商標が継続して3年以上韓国で使用されていない場合は、不使用取消審判を請求することができます。使用の立証責任は商標権者側にあります。転売目的でのみ商標を保有している冒認出願者に対しては、これが最も現実的な手段となることが少なくありません。
5. それでも自社で出願すべきですか?
通常は、出願すべきです。早期に自社の出願をしておけば、冒認商標が拒絶、異議申立て、無効または取消しとなった場合に自社の地位を確保でき、最終的に韓国でブランドの権利を行使するためにも必要となります。冒認商標が存続している間は、自社の出願の審査が保留されたり拒絶されたりすることがあるため、出願と冒認商標への攻撃を並行して進めるのが一般的な戦略です。
予防策
- 市場投入前に韓国で出願する — 韓国の顧客へのオンライン販売、韓国の販売代理店との契約、展示会への出展より前に出願してください。
- 韓国で実際に使用する商標を登録する — 韓国の消費者が韓国語の発音でブランドを呼ぶことが見込まれる場合は、ハングル(韓国文字)表記も含めて登録してください。
- 販売代理店契約・代理店契約に商標の帰属に関する条項を設ける。
- 主要な区分における新規出願をウォッチング(監視)する。
ご相談
当事務所は、韓国における冒認出願への対応について、情報提供や異議申立てから無効審判、不使用取消審判まで、外国のブランドオーナーを日常的に代理しています。ブランド名、冒認出願の出願番号または登録番号(お分かりの場合)、簡単な経緯を添えて、help@dusonlaw.comまでメールでご連絡ください。
本ガイドは一般的な情報の提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個々の事案の結論は、具体的な事実関係によって異なります。